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夏だけの。

着物人になる危険性すら はらんでいるということを再認識した私…。

 澤地久枝さんの「琉球布紀行」。

どうかしてるんじゃないかと思うほど、何度も何度も読み返して居りました。しかも何度も何度も図書館で借りて(買いなさいよ…sweat02

 生協でいやいやながらなんとか委員というのをやってた一時期、何かとこの方のお名前は目耳にして、平和とか母親の会とか、その手の、(ちょっと腰引けるわ…)な鉢巻系の講演会という擦り込みが強かったのですが(すみません)、この本を読むと、戦というものの罪の深さが別の角度からよく見えてきて、胸が締め付けられました。
 
 大切な一枚を着て逃げる。置いてきた物は全て灰と化した…。着ている体ごと 多くの布も炎に巻かれて…。
 やりたいことは山ほどあるのに時間がない…。
 人が伝えてきた想いも、技術も、真実も、忘却の彼方。
 廃業の話も、消えかけているモノを『希少価値』と銘打って売ろうとする人の話も、着物とはこうこうこうですよ・と後付けの自分ルールで人をしたたかに打つ人の話も、混とんとしている着物の括りの中の真実なんだと思うのです。
 着物というものが「作家」の作品としてしか残らなくなれば、それはもう私の手の届かない、暮らしの衣類ではないものとなってしまうよう…。
 それも、私の話であって、着物=作家の手仕事という人も少なからずおられるから、今スグに新しい着物の息吹が途絶えるわけではないのだろうけれど…。
 
 
 富山県水墨美術館で志村ふくみさん親子展が開催されているそうです。
今朝の新聞では沢山の人が見に来ている様子が掲載されていて、志村さん親子だけの着物姿が際立って色美しかった…。
写真を見る限り、ほかには着物姿の人がいなかった様子。
染色に興味のある人が必ずしも着物が好きだというわけではないだろうけれど、なんだか残念だなぁ・と思ったことです。
 子供のころ、国語の教科書で読んだ大岡信さんの「言葉の力」の中の、桜の花が開く前の皮をはがして美しい桜色に染めるのだという件。志村ふくみさんの名前が、桜の香りと、花開く前の紫を帯びる桜の木の姿とともに 鮮烈に刷り込まれました。
 
 学生時分、BSの特番で観た、芭蕉布の仕事。平良敏子さんが芭蕉の畑で作業をする様子が印象的でした。
 父がお茶の先生から頂いた芭蕉布の茶羽織。あれはこんな風に沢山の手作業を通って、形を作っていったのかと思ったり。
 
そんなことが積み重なってきて、いま、柔らかい着物も、しっかりした着物も、それぞれの持ち味と美しさで、見る自分を呆けさせてくれるけれど、無理をしてでも、袖を通してみたい!!と思うのは、南の島で織られる布で出来ているものが圧倒的に多い…。
 それがはっきりと分かったのでした。
 ずっとずっと、ただ、木綿や麻の藍絣が好きなのだと思っていたけれど、本当に本当にあこがれて止まない布はもう少し南にあって、それとは知らずに海を飛び越えた異国の島で布を求めていた娘時分。
 もっと近いところに私が本当に焦がれるものがあったんだなぁ。
 乳がんの懸念がぬぐえず、今回受けた健診で 要精検の診断が。
 検査のために大きな病院に行こうと思った時、袖を通したのは、昔訪れた南の島で求めたろうけつ染めの衣類 数枚でした。
 久しぶりに、銀細工の耳飾りを通して、細かい手仕事の染めのシャツのボタンをかけて。
 顔つきも 肌も 髪型も、全てがあのころと違う今の自分。でも、この布は少しも派手にも無理やりにも見えない…。
 履き物の鼻緒がよく似合う布は、きっとどこかでつながっているものなんだろう。
 沖縄とインドネシアとに 同じ発音と意味を持つ単語が存在するように。
 017
 おつうさんには既に頭一つリードされてしまっている「お出かけ夏着物を着る!!」計画(笑)
 この宮古を着て、主人と二人で歩きたいなぁ…。
 これを求めるとき、思わず、「あたしがコレを求めても、罰は当たらないでしょうか。」と訊いてしまいました(^_^;)
 誰に訊いたのか。見つけて来て下さった方は 「当たらないわよ~(笑)。…楽しんで着てくらはい。」とおっしゃったから、少し心が軽くなったけれど。
019
 夏の大島を足して、着丈を出していただきました。この大島も、どんな人が着ていたものだったんだろうなぁ。
 018
 この細い細い糸を紡いで出す手はどんな指だったろう。どんな言葉でどんなおしゃべりをしながらの作業だったんだろう。
 どんな旅を経て 私のところに辿りついたんだろう。
 私の体が消えた後、どこへ行くんだろう。暖簾になってでも構わないから、どうか灰にだけはしないでほしい。
 私の暮らしの中に、小さい足音と、夏には不要ではないかと思われる温さが加わって、改めて生きるということが有りがたいものだと肌から染み込んできます。
009
 この猫に、ずっとずっと赤い前掛けを縫うてやろう。
そのためにも、私は元気でいたい。
この帯にうつされた暮らしの道具達と一緒に。
016
暮らしの中に。
(精密検査を受ける前の晩、連れ合いは午前四時まで帰らず酒を飲んでいたという事実。結果が分かって初めて私の目を見た彼であった。これも愛か。)
 

 

著者ページ
琉球布紀行

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きもののこと」カテゴリの記事

コメント

泣きました。理由は有りません。
でも涙が出ました。涙腺が緩いのはトシのせいでしょうか?
精密検査受けられましたか?大事に至らぬ事を祈ります。
私も9月末に乳ガン検診です。
前回の検査から3年が過ぎてしまった。
毎年必ずと言われながら、忙しさを理由に我が身の事は
後回しにしてしまいます。
私が潰れる事が一番「困る」事だと分かって居ながら。
もう若くないのだから、こまめに丁寧にメンテナンスをして「丈夫で長持ち」したいと思っては居るのですが・・・・・
私が言うのも何ですが、どうかご自愛ください。
浴衣を引っ張り出してくる小さな日本男児の為にも、大切な
大切な「お母ちゃん」なのですから。
ともに「丈夫で長持ち」致しましょう。

投稿: 夢 | 2011年7月31日 (日) 13時52分

夢さまcherry

 こんにちは!コメントありがとうございます。


 お互い、『もしも何かあっても、何とかなるうちに』という構えで!(苦笑

 精密検査では、乳腺症という診断でした。これからは半年ごとに検査を受けることになっています。ホルモンバランスにふりまわされるようなので、しっかり閉経するまでは特に注意しようということに。


 夢さんも、何とか時間を作って健診を受けて下さいね。

 子供のことも勿論だけど、私は連れ合いを一人にしたくないと心から思いました。この人を見取るまでは逝かないぞ!!って(笑)

 でも、今一番の心の支えは この子猫~~~!!可愛くて悶死寸前です!

投稿: ゆん | 2011年7月31日 (日) 15時33分

澤地久枝さんも、いつもお着物姿の方ですよね。
しかもやわらかものではなく、絣とか紬が多いような。
素敵なお方だと憧れの目で見ております。
志村ふくみさんも・・。

ゆんさん、検査結果が良くてよかったですね。
ご主人もさぞご心配だったことでしょう。
私は夏バテでここしばらく、着物が着られません。
寝巻き代わりの浴衣だけは着るのですが、
外に出て行くために(見苦しくなく)着ようと思うと、
どうにもその気力が出なくて。
でも、明日は久々に着物で出勤しようかな、と、
そんな風に思いました。

投稿: 三好みどり | 2011年8月 2日 (火) 18時03分

三好みどりさまcat

 こんばんは!コメントありがとうございます。

 おかげさまで今回も何とかセーフ…。有難いことです。

 実は今までもちょいちょい引っかかっているんです。実母も罹ったことがあり、とにかくもし罹っても・早く見つけるぞ!という気持ちでいます。


 着物で出勤!素敵です~~!

 三好みどりさんも、どうかご自愛ください。

投稿: ゆん | 2011年8月 2日 (火) 21時11分

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