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たかが、着るモノ

…されど、着るモノ…。

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 …私は、ほぼ毎日 着物の類を着て 暮らしています。

 まわりの方も、「あの人は着物が好きだ。」と、温かく見守って(…たぶん。)下さっていて、よほどのことのない限り、不自由を感じたことはありません。

 ですから、うっかりしていたのです。

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…世間一般にも、「着物というのは衣類のひとつである。」と、認識されているものだと思い込んでいたのです。

 毎年、春は 礼装云々で物議が醸されますが、個人的にはそんなに難しく考えたことはなかったんです。

 が、うっかりネットの異次元に落っこちて、ナンとか知恵袋とか カンとか掲示板とか、そういう世界をのぞいてしまったんです。

ああ・ものすごい衝撃。

  誤解を覚悟でいいますけど、着物を好む人って、大きく分けて二つの人種があるような気がしました。

 ① きちきちと しわなく着ること、一糸乱れず・が美しく、TPOは戦後のルール(無意識かもしれないけれど)を原則として守ること。礼装は、着つけの資格を有するものに頼むことを奨励する。

 ② できるだけ自分で着るのがいい。自分の身にあった着方を、相手に失礼のない範囲で工夫する。昔の生活にも注目してみる。

 

 そのほかにも、徹底的に自由に楽しむ方や、ルールはわかっているけれど、それを破ってこそ、着物の未来が開けてくる!という方や。

 

 何とか掲示板というのを眺めていると、動悸が激しくなってきます。胸が苦しくなってきます。

 何で、わからないから・と相談している人に、「駄目ですね。あなたはここに相談に来るレベルに達していないことを知ってください。」…なんて言えるんでしょう?

 「そんな心ない人なら、大したことないな。それ以前の問題じゃんannoy」って、涙が出てくる。

 どうして、着物の入口に立った人を やさしく迎えてあげられないの?同じ、着物が好きな者同士でしょうに。

 

 どうして、着物ってこんなにややこしいんでしょう?

 他のジャンルのおしゃれに対しては こうまで 辛辣じゃない。なぜ着物だけが?しかも、着物好きだといいながら。

 

 私は、着物が大好きです。

子供のころから着るものに…というか、布地にものすごく興味を持つタイプでした。

色々と、「不快でないもの」を着ていくうちに、もっともなじむ着物を常着にしました。

 

 確かに、不便な部分もあるにはあるし、何といっても 心ない人の視線を浴びることもありました。

 

 でも、私の人生も必ず終わりが来るのだから、その時に悔むことのないように 大好きなものを、身の丈に合った楽しみ方で着ていきたいと思いました。

 衣食住は なにがどうでも 必要なのだから。

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 長女の お三味の稽古がありました。

 娘は 小学校の卒業式に 袴で出席するつもりでいました。

私は、失礼のない服装であれば、好き好きだと思いましたし、学校もそういうお話でした。

 

 忙しい中、お師匠様が、矢絣の中振りなどをそろえてくださいました。

 

 ですが、その後 学校側から 少々お話がありまして、洋装で出席することに決めました。

 せっかく、お世話してくださったお師匠様にお詫びをしました。理由は言わなかったのですが、

 「うん。そうなると思ったわ。あなたが気にすることじゃないのよ。」・と。

 きっと、世間一般からみると、「一人だけ袴で出るなんて非常識!」「コスプレ?」等々…な話なんです。

 こんなにモノがあふれて、選択肢の多い国に居ながら、なぜか着物にかかわるところだけは狭いなぁ・と思いました。

 私は、どうあっても 袴で出なきゃ!…とは思いません。(サラリーマンでもある)担任の先生の立場や、着物というもののイメージを損なうのは おかしいと思います。無理をするほどのことではないと思うんです。着るも着ないも。

 

 

 

 その後、厚かましいにもほどがありますが、それを承知で、謝恩会で袴を着させてほしいと お師匠様に お願いしました。

 

 お師匠様は、

「…お母さんも、大正ロマンする?いい着物貸してあげようか?」と笑ってくださいました。

 『 あのね、何でもいいのよ。大切なのは、着物を着たい・という気持ち。それと、着物を知りたいという気持ち。そして、それを誰かに伝える・ということなのよぉ。

…まあ、いろいろあるけどね。馬鹿って言われるし、自分でもそう思うこともあるんだけど。

 着物は、ほんとの意味で もうダメになっちゃってんの。おカネで モノを計るようになってしまったからね。

 ああ。汚すとか何とかは気にしないで おいしく食べて 楽しんでくんのよ。でないと、せっかくのおしゃれが愉しくなくなっちゃうから。

 それと、洗濯なんか出さずに おかえしなさい。』

 

 …娘は、昨年 6年生のお姐さん達に 風紀にうるさい先生が、

「あなたたち、卒業式 何着るの?きもの 着たら?可愛いわよ~。」…といったのをそばで聞いて、素直に

「ああ、きもの着ていいんだ!じゃあ、袴にしよう!」…と喜んだらしいのでした。

 つまり、着物というのは、着るということが ジョークにさえなるほどに・遠くかすんで見える衣服なのでしょう…。そういう冗談は、私たちには 通じなかったのでした(苦笑

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 私は、思うんです。

 普段着は、好きに着たらいい・と。

 自分の暮らしにあった様子で、体調に合わせて着るものを選べばいい・と。

 ただし、大切な場面では、自分のできる範囲で きちんと礼を尽くさなければ・と思います。

 いくらお金があっても、「見せたいがための珍しいもの」を、相手があるときに着るのはどこか貧しいと思いますし、そういうものを売りつけるあさましい商売人は大嫌いです。

 『正しい着つけ』なるモノを振りかざして、着物を特別なもののように言う人は とても残念だと思います…。(ちなみに、そういう人は、私のことを 嫌いだと思います)

 たかが着るモノのことで 誰かを傷つける。自分から何かを奪ったわけでもないのに。

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「はい。これ・あげる。あなたが好きそうだから、古道具屋から盗んできたわ。盗んでっていいっていうから(笑)」

 …と、お師匠さんが下さった、昭和9年の「主婦の友ふろく」です。

 一家全員の着るモノ、お布団、枕など、夏の暮らしのこまごまの仕立てや着こなしが書かれてあって、とても楽しいものですheart02

 

 …でも、この後 戦争が、この家族を包んでしまう。

 そんなことを思いながら頁をめくったら、

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…栞がわりのキャラメルの箱と、糸の切れ端が挟まれていました。

 

 

 

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きもののこと」カテゴリの記事

コメント

どこにでも同じ問題があるものなんですね。
私も着物が大好きです。でもやはり、着物姿に向けられる視線は決して暖かなものばかりではありません。
日本人なのに、日本の衣類なのに、なぜこれほど特別な扱いをうけるのでしょうね。
穴の開いたジーンズや、下着か!?と思うほどの格好でも通用する時代に、何故着物ばかりが批判の対象になるのでしょう。
卒業式などに集まる父兄の中には、水商売の衣装のような服装で出席している母親も居ると聞きます。
そういった服装が悪いとは思いませんが、ふさわしいかどうかと考える必要があるはず。
なのに着物ほどの批判はないようで・・・不思議です。
お師匠様、とても素敵な方ですねlovely
そういった方に出会えただけでも幸せです。

思うに・・・着物を着ない人に限って、着物姿に冷たい視線を向けてきます。
私なんかもっと良い着物を持ってる・・・みたいな。
だったら着ればいいのに・・・と思うと、さほど気にもならずやり過ごすことが出来ます。
あ、それってただ私が歳をとって図々しくなっただけかもsmile

投稿: 夢 | 2010年3月11日 (木) 15時39分

小学校の同級生に李さんという女の子がいました。
卒業式に彼女は、ピンクのチマチョゴリを着てきました。
いつもの教室に、ひときわ輝く異国の布。
初めて見るものだったので驚きました。

もともと端正な顔立ちの綺麗な子だったので、
もうみんな釘付けでしたね。
暴れん坊の男子がぽかーんと口を開けて呟いた、「お姫様みたいや・・・」という感嘆は、ずっと後にも語り草になっています(笑

彼女は目立つ為に着てきたのではないと、みんな判ってました。
日本で生まれ育ったけれども、自分はもうひとつの祖国を誇りに思っている。
ハレの日にはコレを着るんだと、本人も家族も決めていたんでしょうね。
民族衣装ってこういうことかと、無条件に納得しました。

何故日本人がハレの日にその場にふさわしい着物を着てはいけないのでしょうね・・・。
そういうことを、子供に伝えられる学校が、わたしには不思議です。
とても残念です。

謝恩会の画像、楽しみにしています!

ちなみに地元の高校の先輩は卒業式で、松がさね(紫と緑)でトータルコーディネートした裃を着てましたよ。
これはもちろん目立つためですが(笑)
ハレの日だからアリでしょう、と周りも学校も何もいいませんでしたよ~
レンタルではなく自前だったし。
目にも楽しいものでした^^

投稿: おつう | 2010年3月11日 (木) 15時42分

夢さまtulip
 こんにちは!

 じかに言われたことありますよ!「私もね、箪笥にいっぱい持ってるのよ!でも、毎日忙しくって、そんなもの着てるヒマがないからねぇ!」って!!(爆

 私に対してはなにを言われようが構いませんが、子供のこととなると 根性なくなりますsweat02
 
 ただ、私は、娘たちに 沢山着物を着てもらえたら嬉しいな・と思っています。

 

投稿: ゆん | 2010年3月11日 (木) 16時09分

おつうさまapple
 こんにちは~。

 情けなや、ブレブレのワタクシでございます。
 小さな村の 小中一貫校なので、先生方とのお付き合いもまだまだ続きます。そこを計算している情けない自分をごまかしたい・隠しておきたい・です。

 民族衣装という誇りは、日本人だという誇りが乏しい私には、何とも重いものです。 祖父から聞かされた戦争での話。受けた教育。大人になってから感じた、教育と現実とのギャップ。現在の国の様子。
 戦争を体験してはいないのに、ものすごく重いのです。いつまでたっても定まらないのです。

 ただ、一度たりとも、着物をコスプレと思って着たことはありません。先人の知恵や思いを肌で感じます。形見のものや、古い着物を着るようになってからは さらに。

 うまく言えないけれど、自分が失っているものが大きすぎて 途方に暮れることがあります。

 それでもできることから・と思って、お蚕さんを育て始めたのだと思います。誰もが 昔は やっていた、そんなところから手繰り寄せたいものがあるんです。それが何かは・わからないんです。でも、やらないでいられない。恵まれた環境に住まわせてもらっているのも縁だと思うし…。

 すみません、何やら訳のわからんことばかりで…。

 
 ところで、その先輩って、京都工芸高校(校名ちがうかな?)の方ですか?素敵ですねぇ。

 春は、苦手分野です。
 

投稿: ゆん | 2010年3月11日 (木) 17時24分

戦後、それいけ・やれいけ・どんといけ~と、
外国に追いつけ追い越せとやってるうちに、
日本人は、自分が何人だか忘れてしまったのかと…。

外国の旅番組を見ていると
何か建物とか物産とかについて、
「これはわが町のほこりだからね」と、
誰もがすっと自然に言います。
国歌を詠唱するときに、すんごいドレッドヘアの
おにーちゃんも、でっぷりおばーちゃんも、
胸に手を当てます。
伝統とか民族とか誇りとか…言葉にすると
「ケッ」っていわれそうなこの国は、
さみしいですね。

投稿: とんぼ | 2010年3月11日 (木) 22時46分

ご無沙汰しっぱなしで、ごめんなさ~いm(_ _)m
オイラの住んでる所はお江戸の下町で、昔ながらの長屋なんかが残っているンですがね、着物姿のお婆ちゃんが結構いますよ。お爺ちゃんだって、たまに見かける事があります。昭和の初め頃は、まだみんな着物を着ていたンですよねぇ。
それなのに今は、着物を着ていると奇異な目で見られるなんて…、オイラには良く解りません。
オイラの様に着物を着ている商売の家族でも、卒業式には洋服じゃないといけないのかナァ。能狂言の家元とか歌舞伎界の子供なら、きっと何も言われないのでは?それなら誰が着たって構わないじゃない。みんな平等の世の中なんだから。
学校は何か問題になる様な事は避けたいのですよね。その子だけ特別扱いした様に思われたくないのでしょう。最近はどんな小さな事にでもクレームを付けて騒ぐ保護者がいるそうですから。
あはっ!久し振りなのに長くなっちゃった。再びごめんなさいm(_ _)m

投稿: kikuryu | 2010年3月12日 (金) 10時43分

わたしが行ってた(卒業してませんが;;)高校は普通の公立高校です。
制服も無く、パーマもOK、革ジャンでもジャージでも、学ランでも良し。
たぶん着物で通学しても良かっただろうと思います。
・・・・今考えると変な学校ですね。

でも校則が無いと反抗する相手がいないというか、ヤンキーみたいな人はいませんでしたね。

見るからにオタクの数学の先生がいて、テストの裏に可愛い女の子の絵を描くと+5点してくれたり(笑

(最初の授業の時、「アニメは素晴らしい」みたいなことを黒板に書いてアニメへの愛を語り始め、ほぼ全員にドン引きされてました。職員室の机はナウシカだらけ、文房具もすべてアニメグッズでした。
余りにも堂々としたオタクっぷりに、大人って自由なんだな~と憧れました。笑)

わたしがいた普通科と、偏差値の高い進学コースと体育科もあって、なんだか大学みたいな高校でした。

でも京都だからかな?行事では着物姿は必ずありましたし、
ハレの日に着物を着る事がこんなに気を遣うものだなんて・・・・
知恵袋にはわたしも強いカルチャーショックを受けました。

どうでもいい話ばかりですみません;;

投稿: おつう | 2010年3月12日 (金) 10時54分

本当にそうですね、私の母も着物着て自転車に乗り真夏以外は着物でした。そのせいか私は着物を着るとがぜんはりきって、掃除洗濯料理とルンルンとこなします、母を15歳父を20歳でなくした私は着物を着ていると、母に抱かれたような気持ちになれます。ゆん様の姿は本当にほっと心和みますこれからもヨロシクお願いします。

投稿: せつこです | 2010年3月12日 (金) 14時31分

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